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あなたと、あなたのまちのARTに会いに行きます。

2017/08/18

[Reborn-Art Festival 2017]石巻市街地 中心エリア(エリアA)

4日目

旧観慶丸商店の前を通過する 目 ≪repetition window≫

最終日は石巻市街地に戻ってきました。
夕方の飛行機で帰るので、時間の許す限り石巻市街地 中心エリア(以下、エリアA)を巡ります。



*ほかのエリアはこちらから*
(石巻市街地 周辺エリア、エリアBは行っていません)

[Reborn-Art Festival 2017]牡鹿半島 中部エリア(エリアC)
 https://otomeetsart.blogspot.com/2017/08/rebornartfestival2017-c.html

[Reborn-Art Festival 2017]牡鹿半島 先端・鮎川エリア(エリアD)
 https://otomeetsart.blogspot.com/2017/08/rebornartfestival2017-d.html



以下が実際の当日の流れです。

**********************

4日目 エリアA

8:20すぎ ロングビーチハウス チェックアウト

8:49 JR 渡波駅(石巻線)210円
8:59 JR 石巻駅

9:15 旧観慶丸商店
(A2)目 ≪repetition window≫ 11:00発を予約

(A1)ルドルフ・シュタイナー ≪日本≫
ほか
(A1)ヨーゼフ・ボイス ≪3トン・エディション≫ほか
(A1)マーク・クイン ≪有毒な崇高 - 001G68a*[=)2Z≫ほか
(A1)名和晃平 ≪エーテル #27(オブジェ)≫ほか
(A1)コンタクトコンゾ ≪鹿ウォッチャーと深夜ドライブ
  (と彼の安全な家)(と彼の裏庭の手作り神社)(=テリトリミックス)≫
(A1)ナム・ジュン・パイク ≪心TV≫
(A1)皆川明(minä perhonen) テキスタイル原画・ドローイングほか
(A1)宮永愛子 ≪森は海から生まれる≫
(A1)アーティストプラン・ドローイング

~10:50まで徒歩圏内の作品鑑賞~

日活パール座
(A5)ハスラー・アキラ ≪私たちは互いの勇気になろう(雲の人)≫ほか
(A5)カオス*ラウンジ ≪地球をしばらく止めてくれ、ぼくはゆっくり映画を見たい。≫

ガルバナイズ・ギャラリー
(A4)有馬かおる+犬山キワマリ荘、水戸キワマリ荘、XYZ collective、パープルーム
  ≪GALVANIZE≫

旧柏屋
(A3)八木隆行 ≪B3 project 石巻≫
(A3)Zakkubalan ≪Seachange≫

10:50 旧観慶丸商店へ戻ってくる
11:00 旧観慶丸商店近くの空地
(A2)目 ≪repetition window≫

11:40 旧観慶丸商店近くの空地へ戻ってくる

[昼食]ピザトースト、はちみつレモン:IRORI石巻 650円

~仙台行きのバス(13:10発)まで徒歩圏内の作品鑑賞~

旧旅行代理店
(A6)齋藤陽道 ≪あわい≫ほか

高橋園茶舗 通路奥の建物
(A7)キュンチョメ ≪空で消していく、石巻2017≫ほか

本家秋田屋
(A8)バリー・マッギー ≪Untitled≫
(A8)クー・ジュンガ ≪誘惑の迷路≫

~鑑賞はここまで~

13:10 JR 石巻駅前 発(高速バス)800円
14:24 JR 仙台駅前 着

14:47 JR 仙台駅 発(仙台空港アクセス線)650円
15:11 JR 仙台空港駅 着

16:30 仙台空港 発(アイベックスエアラインズ)
18:35 福岡空港 着

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アーティストプラン・ドローイングの展示風景 旧観慶丸商店

エリアAの移動手段はすべて徒歩です。
牡鹿半島(エリアC/D)と違ってほとんどの作品が屋内。
少々駆け足で鑑賞しました。

筆者が一番楽しかったのは、日活パール座カオス*ラウンジ
生まれて初めてVR(バーチャルリアリティ)のゴーグルを身に付けました。
スタッフの方に「VR作品を体験しますか?」と聞かれるんですが、筆者はその“VR”が何の頭文字かすら全然ピンとこなくって・・・。汗。
場所的にいかがわしいし、お化け屋敷みたいに薄暗いし・・・。
(日活パール座は閉館した映画館、劇場です)
ゴーグルを被って、コントローラーを握るまでは、それがゲーム機を用いた作品だと全く気付きませんでした。(コレ本当です、笑)。
まさに未知の体験でありました。
体験後、スタッフの方が簡単に作品解説してくれます。

カオス*ラウンジ
≪地球をしばらく止めてくれ、ぼくはゆっくり映画を見たい。≫
RV体験ブース

それから、本家秋田屋クー・ジュンガ
障子や襖にまぎれてそっと置いてある複数のオブジェ。
とってもかわいらしいんです。
観ていたら、ちょうど幼稚園児くらいの子どもがバタバタと入ってきて。
「ねえねえ作品どこにあるの~?」みたいな感じで。
「あった~?」「あったー!」とか言いながら一緒に作品を探しました。

八木隆行Zakkubalan齋藤陽道キュンチョメは映像作品があります。
足は運びましたが、今回は時間の関係でちょっぴりだけ。

クー・ジュンガ ≪誘惑の迷路≫ 本家秋田屋

そんな中でも筆者が絶対観たかったのは、≪repetition window≫
昨年、大分のIN BEPPUで発表された作品を見逃したので必ず観ると決めていました。
石巻市街地をバスのような乗り物で30~40分巡る移動式体験作品です。

乗り物は石巻駅周辺や住宅地を抜けて海沿いの工場地帯へ。

震災前と震災後に建てたことが明らかに分かる建物。
だだっ広い空き地に生い茂る雑草。
港を走っているのに、防潮堤で一向に見えない海。

「石巻の景色を見つめる作品を提案したい」という作家の思いがつまっています。
(公式ガイドブックARTIST'S VOICEより)

正直筆者は耐えられませんでした。
今思い出してもちょっと泣きそう・・・。

でも街中を走っていると、その不思議な乗り物に、すれ違う車や人にものすごく見られるんです。
赤信号なんかで停車しちゃうと、間違いなく作品の一部として観られている感じ。
一体どちらが鑑賞者なのか、あいまいになってとっても面白いです。
終了間際に通る旧観慶丸商店では、スタッフの方々が大きく手を振ってくれます。

建設中の防潮堤のそばを通る 目 ≪repetition window≫


工場地帯へ入る 目 ≪repetition window≫

そう。
牡鹿半島でも感じましたが、国内の参加作家はこの芸術祭の趣旨や意義を本当によく理解しています。
ほとんどの参加作家は、この土地に何度も足を運んだと聞きました。
住民の方々の声をダイレクトに取り入れた作品も数多くあります。
作品を発表する意味を熟考し、試行錯誤し、表現へと昇華していくプロセス。
そのプロセスが見えるのです。

この土地を語る上で、震災の記憶は切っても切れません。
そしてそれは、今もなお日本中に影響を及ぼしています。

石巻に赴いて、筆者は自分でも気付かないうちに自分の問題として考えていました。
だからこそ戸惑い、初めて目にする被災地に心を痛めました。

そういう点でリボーンは、現在、国内で開催される代表的な芸術祭とは一線を画しています。
もちろん豊かな自然や美味しい食事、作品にはとっても癒されます。
同時に、私たち日本人が抱えるとてつもなく大きく、現在進行形の現実を提示されます。

キュンチョメ(一部)高橋園茶舗 通路奥の建物

今回、筆者はそれらに真正面から向き合う作家にとても励まされました。
そしてその行為は、非常に尊いものです。
筆者はその行為をひとりでも多くの人に観てほしい。
少し勇気を出して。

私はきっと、3月11日を迎えるたびに思い出します。

自分の目で見た景色。
作品や風景を観て感じたこと。
企画者がこの芸術祭に込めた願い。
それに真剣に答えた作家たち。

きちんと思い出したいと思います。

貝殻の入江(牡鹿半島)



*ほかのエリアはこちらから*

[Reborn-Art Festival 2017]牡鹿半島 中部エリア(エリアC)
 https://otomeetsart.blogspot.com/2017/08/rebornartfestival2017-c.html

[Reborn-Art Festival 2017]牡鹿半島 先端・鮎川エリア(エリアD)
 https://otomeetsart.blogspot.com/2017/08/rebornartfestival2017-d.html


Reborn-Art Festival 2017 公式ウェブサイト
(会期:2017年9月10日まで)
 http://www.reborn-art-fes.jp/




注)公共交通機関の運賃や時刻、食事代などは2017年8月18日現在のものです。これから行く予定の方は公式ウェブサイトやガイドブック、SNSの公式アカウントと合わせてご覧ください。また、掲載画像や文章の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

※会期終了に伴い、記事のタイトルを『[Reborn-Art Festival 2017]石巻市街地 中心エリア(これから行かれる方へ)』から『[Reborn-Art Festival 2017]石巻市街地 中心エリア(エリアA)』に変更しました。

最終更新:2017年9月