*月刊OMA(オーマ)は当ブログ名である「OTO MEETS ART」の頭文字から取りました。その月に音(おと)が足を運んだ展覧会や関連するイベントなどをまとめた記事です。
新天町 大時計塔 |
さあ、天神・新天町商店街にやってきました。
実は新天町にはギャラリーがたくさんあります。
その西通り側の入口にあるのが、ギャラリーとわーる&モッコです。
*「前半」の記事はこちら。
ギャラリーとわーる&モッコ
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おもに九州の画家や彫刻家の個展がおよそ2週間ごとに絶え間なく開かれています。1979年に開廊した老舗の現代美術のギャラリーです。筆者のオススメは、毎年1月に開催される「コンテンポラリーアート小品展」。「とわーる」にゆかりのある地元の大御所の先生から、若手の作家さんまで数多く出品されています。「モッコ」はアクセサリーなどの彫金や器のギャラリーです。ギャラリーの方は「モッコ」にいらっしゃることが多いですね。
新天町の南通り、西鉄福岡駅の手前まで歩いてきました。
次は、ギャラリーおいしです。
こちらも1974年開廊と老舗のギャラリー。4階まであり、各フロアが1つの展示スペースになっています。そう、書き忘れていましたが、ギャラリーには上の写真のような、ほかのアートスペースで開かれている展覧会のフライヤーを置くスペースが必ずあります。ぜひご近所や、観に行ってみたい展覧会を探してみて下さいね。
また、ギャラリーは美術館とは違って、その大多数は入場無料です。
なぜならギャラリーは作品を売るお店だからです。美術館は作品の収集や保存、研究なども大きな役割のひとつなので、そもそも同じ美術作品を展示していても、その目的は異なります。もちろん、何度か通って、作家さんとも知り合って、気に入った作品があったらぜひ購入を検討していただきたいのですが、ギャラリーめぐりそのものは、ほとんどお金がかかりません。
さて「おいし」。
まずは1階の鈴木淳さんの個展「どんたくおいしおばあちゃん」。
鈴木さんは、福岡市美術館所蔵の≪IE4-家族の森≫(1998/2012年)をはじめ、福岡県立美術館の「紙やどる、形」展(2015年)、対馬アートファンタジア(2016年)など、精力的に活動されている北九州の作家さんです。その表現の手段は写真や映像、インスタレーション、パフォーマンスとさまざま。
あるトークイベントへ行った時、鈴木さんが教えてくれたことがあります。
「見方は人によって違うんだよ」
決して他人を突き放す風ではなく、おそらく自身の体験を基(もとい)として。
鈴木さんの作品は、パッと見ただけだと、日常のありふれた光景や、時にはとっても妙な感じ。道行く人を延々と撮り続けた映像だったり、かつらが天井からぶら下げられて、それがくるくる回っていたり(←コレを目にした時は正直どうしようかと思いました)。でも、何というか、後からじわじわくるんですね。何気ない物事の中にも面白いこと、奥深いことは、実は鑑賞者の数、あるいはそれ以上に詰まっている、ということをそっと指し示してくれる鈴木さんの作品が、筆者は何度観ても、また観たくなるのです。
2~4階では、後述するART FAIR ASIA FUKUOKA 2016の連動企画グループ展「Rosonanse ASIA 2016」。アートフェアと合わせて開催された九州を拠点に活動する若手作家さんの展覧会。会期中は出品作家の方々が交替で在廊され、作品集なども販売されていました。
*「ギャラリーおいしのブログ」より。
「皆さんへのお知らせ」は、こちら (閉廊のお知らせ)。
さてさて。
そろそろこの辺で休憩をはさみたいところです。新天町にも美味しいスイーツや安いコーヒーショップはたくさんありますが、せっかくなので少し歩いて、アートな雰囲気が漂うCafeへ向かいます。
ギャラリーおいし 階段踊り場 |
新天町の南通り、西鉄福岡駅の手前まで歩いてきました。
次は、ギャラリーおいしです。
こちらも1974年開廊と老舗のギャラリー。4階まであり、各フロアが1つの展示スペースになっています。そう、書き忘れていましたが、ギャラリーには上の写真のような、ほかのアートスペースで開かれている展覧会のフライヤーを置くスペースが必ずあります。ぜひご近所や、観に行ってみたい展覧会を探してみて下さいね。
また、ギャラリーは美術館とは違って、その大多数は入場無料です。
なぜならギャラリーは作品を売るお店だからです。美術館は作品の収集や保存、研究なども大きな役割のひとつなので、そもそも同じ美術作品を展示していても、その目的は異なります。もちろん、何度か通って、作家さんとも知り合って、気に入った作品があったらぜひ購入を検討していただきたいのですが、ギャラリーめぐりそのものは、ほとんどお金がかかりません。
鈴木 淳さん 展 「どんたくおいしおばあちゃん」 |
さて「おいし」。
まずは1階の鈴木淳さんの個展「どんたくおいしおばあちゃん」。
鈴木さんは、福岡市美術館所蔵の≪IE4-家族の森≫(1998/2012年)をはじめ、福岡県立美術館の「紙やどる、形」展(2015年)、対馬アートファンタジア(2016年)など、精力的に活動されている北九州の作家さんです。その表現の手段は写真や映像、インスタレーション、パフォーマンスとさまざま。
あるトークイベントへ行った時、鈴木さんが教えてくれたことがあります。
「見方は人によって違うんだよ」
決して他人を突き放す風ではなく、おそらく自身の体験を基(もとい)として。
鈴木さんの作品は、パッと見ただけだと、日常のありふれた光景や、時にはとっても妙な感じ。道行く人を延々と撮り続けた映像だったり、かつらが天井からぶら下げられて、それがくるくる回っていたり(←コレを目にした時は正直どうしようかと思いました)。でも、何というか、後からじわじわくるんですね。何気ない物事の中にも面白いこと、奥深いことは、実は鑑賞者の数、あるいはそれ以上に詰まっている、ということをそっと指し示してくれる鈴木さんの作品が、筆者は何度観ても、また観たくなるのです。
ART FAIR ASIA 2016 連動企画
Rosonanse ASIA 2016 (4階)
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2~4階では、後述するART FAIR ASIA FUKUOKA 2016の連動企画グループ展「Rosonanse ASIA 2016」。アートフェアと合わせて開催された九州を拠点に活動する若手作家さんの展覧会。会期中は出品作家の方々が交替で在廊され、作品集なども販売されていました。
*「ギャラリーおいしのブログ」より。
「皆さんへのお知らせ」は、こちら (閉廊のお知らせ)。
さてさて。
そろそろこの辺で休憩をはさみたいところです。新天町にも美味しいスイーツや安いコーヒーショップはたくさんありますが、せっかくなので少し歩いて、アートな雰囲気が漂うCafeへ向かいます。
不思議博物館分室サナトリウム 入口 |
本日の休憩地点は、昭和通りから小道に入った不思議博物館分室 喫茶/ギャラリー サナトリウム(以下、サナトリウム)。
サナトリウムという名前ですが病院ではありません。福岡県筑紫郡那珂川町にある不思議博物館の分館として数年前にオープンしたその名の通り、不 思 議 な 喫茶兼ギャラリースペースです。
サナトリウムという名前ですが病院ではありません。福岡県筑紫郡那珂川町にある不思議博物館の分館として数年前にオープンしたその名の通り、不 思 議 な 喫茶兼ギャラリースペースです。
筆者がこの日注文したのはトマトジュース。・・・はずだったんですけど、出てきたのはコレ(ええっ!?←心の叫び)。カップにうねうね生えてるし、おかわりの瓶がどう見ても飲食用ではありませんが、なぜかメロンが付いています。恐る恐るドロドロした赤い液体を飲む筆者。幸い普通の冷たい100%トマトジュースでした(ホッ)。あ、コーヒーや軽食もあります。
この時、サナトリウムでは「福岡レトロ旅」展が開催中。
福岡市内の古い地図などが面白かったです。
ナースキャップにエプロン姿の店員さん不思議子ちゃんや、偶然いらした館長のすみさんとおしゃべりしていたらあっと言う間に小一時間過ぎてしまいました。(でも何話したんだろ、、、あれ、全然思い出せない、、、)。1人で行っても大丈夫。不思議子ちゃんも館長もとっても優しくてフレンドリーです。まさに、都会にある心のサナトリウム。ココも夜まで開いています。
それから、写真のうねうねカップ。実は館長すみさんの≪根カップ≫という作品で、購入も可能です(おひとつ5000円)。立体造形作家でもあるすみさん。すみさんの作品は、福岡アジア美術館にもコレクションされ、某自然史博物館の模型などでも観られるのですよ。
*すみさんのそのほかの作品は、こちら。ぜひ。
この時、サナトリウムでは「福岡レトロ旅」展が開催中。
福岡市内の古い地図などが面白かったです。
ナースキャップにエプロン姿の店員さん不思議子ちゃんや、偶然いらした館長のすみさんとおしゃべりしていたらあっと言う間に小一時間過ぎてしまいました。(でも何話したんだろ、、、あれ、全然思い出せない、、、)。1人で行っても大丈夫。不思議子ちゃんも館長もとっても優しくてフレンドリーです。まさに、都会にある心のサナトリウム。ココも夜まで開いています。
それから、写真のうねうねカップ。実は館長すみさんの≪根カップ≫という作品で、購入も可能です(おひとつ5000円)。立体造形作家でもあるすみさん。すみさんの作品は、福岡アジア美術館にもコレクションされ、某自然史博物館の模型などでも観られるのですよ。
*すみさんのそのほかの作品は、こちら。ぜひ。
不思議博物館分室サナトリウム 外観 |
ビルの3階のガラス窓にたたずむ人体模型、一郎くんがお店の目印です。
それからもうひとつ。
サナトリウムからもう少し足を伸ばすと、屋根裏貘という喫茶兼ギャラリーもあります。こちらは昭和の雰囲気が漂う昔ながらのお店です。(写真は後日訪れた際に撮影したものです)
いかがでしたでしょうか?
今回は、筆者の時間の都合上、サナトリウムで終点です。
色々観て歩きましたが、これだけめぐってもだいたい3時間くらいです。同じルートでまわらなくても、ぜひお買い物やお出かけのついでに1つか2つ。その際は展示会期や開廊時間のチェックもお忘れなく。
サナトリウムからもう少し足を伸ばすと、屋根裏貘という喫茶兼ギャラリーもあります。こちらは昭和の雰囲気が漂う昔ながらのお店です。(写真は後日訪れた際に撮影したものです)
いかがでしたでしょうか?
今回は、筆者の時間の都合上、サナトリウムで終点です。
色々観て歩きましたが、これだけめぐってもだいたい3時間くらいです。同じルートでまわらなくても、ぜひお買い物やお出かけのついでに1つか2つ。その際は展示会期や開廊時間のチェックもお忘れなく。
オレンジ色のアイコンがギャラリーのみ、緑が屋外彫刻、そして濃い赤がCafeやBarなどがあるアートスペースです。筆者はこの日、ざっくり言うと左から右へ歩いたことになります。
最後に。
実は今回のまちあるきは、2015年から始まったART FAIR ASIA FUKUOKAというアートイベントの「関連企画展をガイドと巡るギャラリーツアー」のルートを参考にさせていただきました。
アートフェアとは、ものすごく簡単に言うと、百貨店や地方自治体などが開く物産展のアート作品版のようなものです。2016年のART FAIR ASIA FUKUOKAは、ホテルオークラ福岡で開催され、各客室ごとに国内外のギャラリーがイチオシの作家の作品を展示、販売しました。
ギャラリーとひとことで言っても、誰しも初めて行く場所は緊張しますし、レストランなどと同じで、「思っていたのとは違った」「イマイチだった」なんてこともきっとあろうかと思います。アートフェアなら、就職活動の合同企業説明会みたいに、一度にたくさんのギャラリーがコンパクトに観られます。近年、東京や大阪のみならず、国内の主要都市では少なくとも1つ以上は開催されるようになりました。ジャンルは、油絵、日本画、彫刻、器(うつわ)、イラスト、オブジェ、写真、古美術など、各フェアによってさまざまです。
アートは大多数の人にとって「非日常」でしょう。この世界で、美術や音楽を生業としているのはごく限られた人たちです。ただ、筆者はこの「非日常」を生み出す人々から学ぶこと、いただくものがたくさんあります。そして週末ごとに触れる「非日常」が、いつの間にか「日常」になりました。
そんなつれづれな記録を、今後もこのブログ「OTO MEETS ART」を通してのんびりご紹介できれば幸いです。
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2016年9月の記録
8日 福岡アジア美術館
「心の旅、ベトナムーー日本の美術コレクター寄託作品より」
会期:2016年12月25日まで
9日 WHITE SPACE ONE
ART FAIR ASIA 2016 連動企画 Rosonanse ASIA 2016
ART FAIR ASIA 2016 連動企画 Rosonanse ASIA 2016
儀間 朝龍 POP COLLARGE [AMERICAN CASUAL]
アンスティチュ・フランセ九州
詫摩昭人展 「差異と反復 / 進化する絵画」
詫摩昭人展 「差異と反復 / 進化する絵画」
ギャラリー とわーる
小田部 黃太 展
ギャラリー おいし
(1階) 鈴木 淳 展 「どんたくおいしおばあちゃん」
(2-4階) ART FAIR ASIA 2016 連動企画 Rosonanse ASIA 2016
不思議博物館分室 喫茶/ギャラリー サナトリウム
福岡レトロ旅 展
「Y氏は暇人」による福岡のレトロな写真・地図の展覧会
福岡アジア美術館
ART FAIR ASIA 2016 関連企画
新人作家公募展「AFAF AWARDS 2016」
10日 ホテルオークラ福岡
ART FAIR ASIA FUKUOKA 2016
福岡アジア美術館
ART FAIR ASIA FUKUOKA 2016 トークイベント
「アジアのアートシーンとギャラリーの役割」
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注)掲載している画像や文章の中には、特別に許可をいただいているものもあります。内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。
*最終更新:2016年11月